Vol.3 世界を旅するそれぞれのはじまり

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かんいち氏が世界一周を意識するまで

旅に行くことは決めたものの、私が実際に旅に出るまでにはかなりの時間がありました。

世界一周に同行する話の前に、ちょっとそこに至るまでの藤原寛一の物語をさせてください。

彼は、専門学校を卒業した後、デザイン会社で働きながら資金ができるとバイクであちこち旅をするような生活をしていたそうです。

そうやって日本一周の旅をしていた時に、さまざまな風景に触れ、今度は、360℃の地平線を見てみたい と思ったんですって。

そこで、情報を収集して北海道まで行ったものの、そこで見たのは「これが360℃地平線だ!」と言える風景ではなかった。

そこから、そんな風景を追い求めてオーストラリアへと旅することになったそうです。

そして、オーストラリアの大地を小さなバイクに跨り自分の力で突き進み、念願の360℃に広がる地平線の風景の中、人の気配のない大地にテントを張り、満点の星空の中でひとり過ごしているうちに、彼の人生観が変わっていったのかもしれません。

オーストラリアの旅の途中で世界地図を手に入れ、それをテントの中で見ていたら、こんなことを思ったそうです。

日本にいるときには海外に出ることがとても大きかったし、オーストラリアを旅している自分にも満足していた。

けれど、世界地図を改めて見ると、世界はもっともっと大きく、まだ、ほんの少ししか体感していないと知って、その目線が世界に広がっていった。

旅に行くとは言ったものの…

かんいちの話を聞いて、彼にとって世界一周の旅がとても大きなものだと理解しました。

一方、私はなんとなくノリと好奇心で「行く!」と行ってしまったものの、まるで実感がわきません。

彼の計画としては、まず、アフリカ大陸を1年旅して、その後にヨーロッパに渡り、そこだけ私が合流。

その後はまたひとりになって北南米を縦断する、というものでした。

結果としては、北米を旅していた時に体調を崩して旅の継続を断念し、帰国したのを機に私と結婚。

その後、落ち着いてからひとりでアジア横断をし、数年後、仕切り直して夫婦で北南米縦断をしました。

なんだかんだで、結婚後も同じように旅していますね。

話を元に戻し、まだ夫でなかったかんいちがアフリカに行っている間、まだ妻ではない私は、自分が旅するであろうヨーロッパの情報をひたすら研究していました。

結局、かんいちは、真夏にサハラ砂漠を縦断しようとして死にそうになったりしながらアフリカを南下、ジャングルのザイールを横断し、再び北上していた時に湾岸戦争が始まります。

1990~1991年、今から32年も前の出来事だから、リアルタイムで知らない方も多い昔の出来事ですね。

そのため、アフリカを北上することに危険が伴うのではないかと心配した私が、半分脅して帰国を迫りました。

そんなわけで、本当はひとりで準備してヨーロッパに行かなくてはならなかったところ、帰国したかんいちを頼りながら、なんとか旅の準備を進めるという方向性を手に入れることができました。

湾岸戦争は衝撃的で、海外を旅することにも怖さを感じていたので、その不安を持ちながらひとりで旅に出ることはハードルが高すぎてできなかったと思います。

だからその点だけはラッキーだったかもしれません。

とうとう旅に出る

実は、アフリカから帰国し旅の準備が動き出すまで、私は一緒に旅をすることをあまり現実味を持って考えていなかったかもしれないな、と思います。

だから、本当に旅に出るための準備が進んでいくと、再び、自分を奮い立たせなくてはいけなかったような気がします。

そして、最終的に私が自分にかけた声はこれ。

嫌だったら10日で帰ってこよう!

それまで普通のOLだった私は、旅行に行く期間は10日ぐらい。

なにせOLにとって最長の休暇はそれくらいでしたから、それ以上をイメージできかなかったんです。

人は、全く体験していないことや、新しい基準を目の前にして、想像すらできないというのはこういうことなんだな、というのは後から感じました。

なにしろ、結果から言うとフランス・パリからはじまった旅は、10日ではまだスタートもできず一歩も進んでいない状況だったのですから。

そんなことになるなんて、日本にいる間の私には考えられないことでした

つづく

1990年4月~12月まで、ヨーロッパをふたりでバイクで旅した時のことを振り返っています。
ベルリンの壁が崩壊したのが1989年11月のこと、旅を始めたのは、それから半年しか経っていない激動の頃でした。
ヨーロッパの様子も今とは大きく違うところもあるでしょう。
旅もバイクも超初心者の私が旅に出るまで、そして、この時はまだ夫婦ではなかった私たちの様子も懐かしい思い出です。

旅の記憶

Around the world
実際に私が夫とバイクで旅したルート

藤原かんいちホームページ

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